マット菌への対策について

フィギュアフォークラブでは、レスリング競技における重大な感染症の1つとされる白癬菌(以下、マット菌)に対して、早期発見・早期治療、周囲への感染予防を行い、クラブ全体がしっかり認識するとともに注意喚起に努めております。ついては、本クラブとしてのマット菌に対する対応ガイドラインを制定しました。必ず熟読、遵守ください。


マット菌に感染すると、想像以上に選手やご家族は精神的なダメージを受けます。無知な状態で色々な憶測を飛び交ったりすると、選手や保護者のなかで不安も大きくなり、人を傷つけてしまう場合にも至ります。万が一罹患した場合は、迅速に医療機関を頼り、しっかり治癒に専念しましょう。そして、完治して復帰したら、また一緒にレスリングに励めるよう、チームとして温かく迎え入れましょう。

1.マット菌(白癬菌)とは

2001 年ごろから、柔道やレスリングなどの競技者に白癬菌(カビ)感染症が増加 しています。 トリコフィトン・トンズランス感染症が正式名称ですが、新型水虫菌、 たむし、マット菌、カビなどとも言われています。

マット菌はレスリングの練習場のみならず、高温多湿の日本が故に生活の様々な所に存在します。いわゆるカビの一種で、特に肌と肌を触れ合う競技を通じて感染が広まっております。白癬菌は、感染速度が早く感染力が強いのが特徴で、擦り傷や切り傷などから菌が侵入します。清潔を保つようにしましょう。

2.日頃からお願いしたいこと

フィギュアフォークラブでは、マット菌の感染予防・早期発見対策として、日頃よりすべての選手(未成年の場合は保護者)に以下の徹底をお願いしています。

  1. 定期的に、成年選手は自分自身にて、未成年選手は保護者がボディチェックをし、感染の有無を確認してください。(“かゆい”を見逃さないようにお願いします)
  2. 感染リスクの要因として、疲労やストレスが蓄積する状況などの免疫力低下に罹患する可能性が高いとされています。日頃より、睡眠・休息・栄養をしっかり取るよう心掛けてください。
  3. 練習前後のマット清掃や消毒をしっかり行いますので、定刻集合を心がけてください。万が一、集合時間に間に合わない場合は練習後の清掃・消毒を率先して行ってください。
  4. 傷等から菌が侵入して感染に至ることも多いことから、湿疹や傷口は「全て」覆うようにしてください。レスリングの競技特性上、摩擦などが生じても「絶対に患部が露出しない対策(例えば、絆創膏を貼り、テーピングで固定する・ラッシュガードやサポーターを着用する等)を行うようにしてください。
  5. 練習後、肌が露出している箇所をしっかり洗浄してから帰宅してください。
  6. 合同練習や大会の場合、翌練習時までにご自身のレスリングシューズのソールを洗浄してください。なお、ヘッドギア等も同様に清潔に保つようにしてください。


★推奨:抗真菌薬用シャンプーやボディーソープの利用

マット菌(白癬菌)に効果的と言われている、市販の抗真菌薬用シャンプーやボディーソープを利用した方が良いででしょう(参考URL)。特に頭皮に感染した場合、傷を覆うことが難しいことや毛根が抜けてしまうなどの症状に至ることから、特に気を付けていただきたいです。

3.感染した場合

  1. 速やかに医療機関で受診してください。検査前に「抗真菌薬」を患部に塗ると、真菌が検出されずに正確な診断の妨げになる場合や、万が一、マット菌ではなかった場合、悪化してしまう場合がありますので、医師に指示されるまでは「抗真菌薬」を患部に塗らないようにお願いします。
  2. 出来る限り「格闘技に多発する白癬菌の診療経験が多い医療機関」でかかるようにしてください。通院前に「レスリングをしていて、白癬菌ではないか診ていただけますか。」と電話で確認しておくと良いでしょう。
  3. 診断を受けた際、速やかにクラブへの報告(報告フォーム)に入力してください。
  4. 同時に、クラブ連絡網(グループLINE)に報告してください。報告は①発見日、②感染部位、③診断結果、④直近2日間の練習参加を報告し、患部の写真も添付してください。クラブ全体としての感染予防の注意力啓蒙にご協力ください。

★報告例

「マット菌の報告」

こんにちは、○○の父です。昨日10/3(月)夜、息子の左首あたりに湿疹を発見し、医療機関に受診した所、白癬菌と診断を受けました。直近の練習参加は10/1(土)午前の駒込練習と10/2(日)青山練習です。一緒に練習いただいた選手の皆さんにはご心配をおかけしますがご留意ください。よろしくお願いします。

4.治療中について

①定期報告について

治療中の選手は、毎週金曜日の午前中に、現状をクラブ連絡網(LINEグループ)に報告してください。その際、患部の写真も共有してください。

★報告例

「マット菌の中間報告」

こんにちは、○○の父です。10/4(火)にマット菌と診断を受けて療養中です。現在○日経過しており・・・・等


②練習参加について

マット菌は、飛沫感染や空気感染はしないとされています。そのため、患部を完全に覆い、髪の毛(患部が頭皮の場合)や角質が絶対に落ちないよう、レスリングの動きで固定した所がズレないようにしっかり固定することを条件として、最終的に監督の許可があれば対人練習に参加することは可能です。

なお、患部は練習場で覆うのではなく、必ず練習場以外で覆ってから練習場に入るようお願いします。また、万が一を考えて、固定するものの予備を持参してください

しかし、レスリングの競技特性上、激しい動きや相手との摩擦などで覆っているものが解けたり、外れてしまう場合があります。このことを予め想定した万全の対策をお願いします。

例)

  • 腕や足に感染した場合、患部を絆創膏やテーピングでしっかり覆った上で、ラッシュガードやロングスパッツなどを履いたり、サポーターでしっかり固定する。
  • 頭部に感染した場合、シリコン型の水泳帽を被り、帽子が脱げないようにテーピングで固定する。なお、運動すると筋肉の活動により部位が太くなります。そのため、非伸縮性のテーピングだと血行の活性を妨げ、身体に負担がかかることや剥がれてしまう場合があります。そのため、伸縮性のテーピングを利用する方が良いと考えます。

※患部が覆えない状況や患部が露出する恐れがある場合は対人練習させません。

※あくまでも上記はFFCの練習におけることで、公式試合はルール上、完治していなければ出場できません。

5.完治について

  • クラブへの報告(報告フォーム)をお願いします。
  • FFC連絡網にて報告してください。


※「完治」について

当クラブの「完治」の理解は、「他人に感染リスクがないこと」を重要としています。そのため、医師に「完治した」と告げられた際、必ず「完治のため患部を覆わなくても他人に感染しないか」を確認し、医師が感染しないと指示する場合は患部を覆わなくても良いとします。また、指導者や練習前のボディチェックされた方の判断により、念のため患部を覆うように指示する場合は従うようにご協力ください。


「完治」後も4週間経過するまで再発予防のお願い

医師から完治を受けた場合においても、再発予防等の観点から念のため外用薬を塗り続けていただきたいです。マット菌は生毛に感染し、残った菌が再発、感染源になることが指摘されていますので、感染後、4週間経過するまで ①外用薬の継続、②患部を覆うことにご理解ご協力お願いします。なお、医師から更に長く継続の指示を受けた場合は、その通り従うようにしてください。


※大会時のメディカルチェックについて

大会では審判等によるメディカルチェック(目視)を実施し、選手のマット菌有無を確認します。万が一、マット菌の疑いが認められた場合、出場出来ません。そのため、アトピーや虫刺されやマット菌と誤解する疑いのある患部が見受けられる場合、全国少年少女レスリング連盟規定の医事証明書に記入し、大会時メディカルチェックに提示してください。

≫参考:全国少年少女レスリング連盟 医事証明書(PDF形式)

6.ご参考

「実際にマット菌を経験した方」による事例を伺わせていただき、情報を収集して、共有させていただくことで、少しでも安心して治療に専念できることを目的に、アンケート調査を実施することにいたしました。