【コラム】緊急事態宣言中は家族単位で自主練習、新たな発見や学びが沢山ありました。
フィギュアフォークラブでは、第3回となる緊急事態宣言中(4/25~6/20)の2か月間、新型コロナウイルス感染症への感染予防の一環として、チーム練習を自粛し、土日祝を家族単位での自主練習を開催しました。
この期間は、家族単位での練習(1クラス2家族まで)としました。活動場所はFFC駒込道場で行い、1クラスの時間を90分と設定し、ウォーミングアップは練習前に各自で済ませていただき、マットに上がる時間はマットでしかできないことを優先にして取り組みました。
※マットを2つに区分けして実施しました。
まずは会員皆さまに事前希望を行い、それに基づきスケジュールを組みました。
時間枠は、
【1】8:30~10:00
【2】10:15~11:45
【3】12:15~13:45
【4】14:00~15:30
【5】15:45~17:15
【6】17:30~19:00
と、1日6クラスにし、道場マットを真ん中で分けて1クラス2家族としました。
チーム練習ができないことはとても残念なことです。しかし、残念で終わってはもったいないと思い、何か方法はないかと思い、個人練習として、マンツーマンでとことん選手達に向き合える時間にしようと決めました。しかし、8:30~19:00まで、通しでの指導は私の体力や集中力がどうかなと不安もありました。そのため、このシステムを導入するにあたり、テスト開催をしました。テストとして実施後、すぐに「これはぜひやろう!」と決めて実施しました。
一般的に人が「決める」に至るには、例えば「A」と「B」とを天秤にかけて、どちらが良いかを決めます。そこにはメリットやデメリット、体力、時間、状況などを考えながら決めていくのが一般だと思います。私の場合、単純に「A 成果ややりがい」が「B 1日9時間の指導」に対して、圧倒的に勝ったからです。これはもちろん個人の価値観や考え方にもよりますが、同じ物事でも、とらえ方や成果は大きく変わることを改めて実感しました。
指導で大切にしてきたことは、個々の特徴や習得度、得意・不得意をよく見ること、そして選手各自のキャラクター(個性や性格等)をもっと理解することです。こちらがメニューを提供すると「反応」として跳ね返ってきます。例えば1つの技術を教えると、「覚える」「覚えられない」と大別でき、「覚える」にも「すぐに覚える」「時間がかかるが覚える」「半分は覚える」などと個人差が出ます。また、「覚える」ことを実際に表現出来ているかもじっくり見届けることが出来ます。教えたことを選手がどう理解し、どう表現するかの行程をしっかり見ることが出来たことがとても有意義でした。
また、親御さんからも沢山学ぶことが出来ました。やはり世の中で一番子供のことを見ているのも知っているのも間違いなく親です。親御さんが自分のお子様に受けるとき、自然と「いつも親御さんがお子さんに気になっていること」を強調します。例えば「タックル入ってから止まってしまう」場合、あえて止まる状況を作って受けています。声かけも同様です。選手をしっかり理解する上で、親御さんから学ぶことが沢山ありました。そして、いつもはマット上で選手と向き合うことが中心ですが、親御さんとお子さんの接し方なども見ることができ、少しではありますがお子さんの新たな一面もたくさん理解することが出来ました。しかしながら、受けてくださった親御さんの腕や足には沢山の痣がありました。とても痛々しく申し訳ない気持ちでいっぱいです。
緊急事態宣言前半は、主に「自分自身に向き合う」ことを中心に、レスリングの基本を再確認することに徹底しました。構えの高さや動き方、相手のさわり方、距離の取り方、攻め方、守り方を指導しました。まずは正しいイメージをしっかり持つこと、基本は頭で理解してから身体で表現させるようにしています。考えて理解した上で取り組むと、何が間違えているかが選手自身が分かります。間違いを自分で修正することで、自分自身をよく理解できるようになります。そして緊急事態宣言後半は、「外的要因に向き合うこと」を中心に、レスリングの展開で生じる状況設定や、達成すべき時間や回数などを設定、さらに息のあがる心肺機能に負荷をかけながら前半で習得したレスリングの基本が発揮できているかを徹底しました。
※白い壁に貼っている黒テープは、選手それぞれの目線の高さです。自主練習最初の基本では、目線の高さをしっかり固定するところから始めました。
緊急事態宣言中、日本テレビ系「有吉ゼミ」番組内に、当クラブの活動風景が紹介されました。放映後、「家族単位で自主練習のアイディア良いね!」と、レスリング関係者から反響を沢山いただきました。このような個人練習は、所属選手数が少ないクラブであれば容易かもしれませんが、たくさんの世帯をまとめることは正直難しいかもしれません。
けど、私自身、まったく難しくありませんでした。なぜなら活動やこの趣旨に理解してくださる選手たちや保護者たちに恵まれたからです。目的意識をもって参加してくださるので、分からないことや教えてほしいことを話してくれたり、練習も一生懸命真面目に取り組んでくれました。とても有意義な経験が出来ました。
少し引いた目線で改めて考えると、新型コロナウイルス感染症の感染予防対策として、早期から指導者や保護者による新型コロナウイルス感染対策委員会を結成し、このような活動を決めるにあたり案として諮問し、委員会に意見を求め、実施するプロセス(過程)を構築したからだと感じています。私たち人類はこの新型コロナウイルス感染症という未曽有の状況に出会って、まだ1年しか足っていません。この1年で到底、根拠となるものは確立できません。この状況下で自分の考えに賛同する意見や情報だけで固めるのではなく、多角的に様々な立場の皆さんで1つの答えを導いていくことを大切にしてきました。これからもこの方法は大切にしていきたいと考えています。
現在、ワクチン接種が広まりつつありますが、まだまだ新型コロナウイルス感染症は収束に至っておりません。緊急事態宣言が解除されても、気を抜かず、さらに高い感染予防意識をもって取り組んでいきたいと考えています。今後とも会員皆さまの温かいご理解ご協力をよろしくお願いいたします。ご協力いただきました皆様、本当にありがとうございました。
以上
フィギュアフォークラブ
監督 本多尚基
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